第5回はセリエAのインテル・ミラノに所属しているベルギー代表 ロメル・ルカクです。
1993年5月13日 生まれ ベルギー・アントウェルペン出身 191cm 94kg ポジション:FW(CF)
プレミアリーグのマンチェスター・UからセリエAのインテル・ミラノ(以下インテル)に移籍して2シーズン目の20-21シーズン。
34試合を終えてチームは勝ち点82で断トツ1位。2位ACミランに勝ち点13の差を付けています(2021/05/02現在)。20/21シーズンのリーグ優勝をほぼ確実にしたインテル。
ルカク個人は得点ランキング2位タイの21得点(2021/05/02現在)。
またベルギー代表FWとしても同国歴代最多得点記録51ゴールを記録しています(2019年10月13日現在)。これは2位以下に20点以上の差をつけてのぶっち切りでの1位。
人格者としても知られるルカク。そんなルカクのキャリアについて振り返っていきます。
1993-2006 生い立ち~少年期~ユース時代
↑ルカクと両親です。父ロジェ・ルカクコンゴ民主共和国(旧ザイール)の代表選手でした。弟ジョルダン・ルカク、従兄弟のボリ・ボリンゴリ=ムボンボもサッカー選手というサッカー一家です。父親はプロサッカー選手でしたが、ルカクが6歳の時に父親は引退。幼少期はとても貧しい生活でした。
貧しさにまつわる数多くのエピソードを本人自らがインタビューで話しています。当時5歳でサッカーを始めたルカク少年。ちょうどその頃、母親が牛乳を水を薄めている所を目撃。「その時、5歳ながらもどれほど貧しい家庭であるか気づいた」と語っています。その他にも”シャワーからお湯が出ない”、”電気が2-3週間止まる”、”家にテレビがなくサッカーの試合を見られない”、”アマチュアリーグでプレーしていた父親とスパイクを共有していた”等・・・。本人にとっては辛い思いでかもしれませんが、「それがモチベーションに繋がった」とも語っています。
5歳の頃、地元のルペル・ボームFCでサッカーを始めます。そこで4年間過ごした後、リールセSKのスカウトに才能を見出され2004年から2006年までプレー。その間、68試合で121ゴールを決める活躍をします。
↑リールセSKのユース時代のルカクです。とにかく”デカい”!早熟です。
2006年、13歳の時にリールセSKがベルギー2部リーグに降格するのと同時期に、RSCアンデルレヒトに移籍しました。RSCアンデルレヒトのホームタウンは国際都市ブリュッセル。ルーツであるコンゴ民主共和国をはじめ界各地からの移民が暮らしています。そのためルカクはとても暮らしやすかったと語っています。↓やっぱり”デカい”(笑)。
2008-2009シーズン プロデビュー (当時16歳)
2009年にトップチームに昇格し、16歳の誕生日から11日後の5月24日、早くもにトップチームデビュー。初舞台はジュピラーリーグ(ベルギーリーグ)のリーグ優勝プレーオフのスタンダール・リエージュ戦でした(同勝ち点・同勝利数だったため)。
↑これはその時の写真です。結局、2試合合計1-2で敗れて2位でシーズンを終えました。
2009-2010シーズン (当時17歳)
このシーズン33試合で15ゴールを挙げ、ジュピラーリーグ2009-10の得点王になった。16歳10か月での得点王はジュピラーリーグ史上最年少!これは当分破られることがない記録でしょう。なんせ高校1年生が欧州のプロ1部リーグで得点王(笑)。
ルカクの大活躍もあり、チームは2009-10シーズンには30回目のリーグ優勝。
さらにヨーロッパの舞台でも活躍。2009年12月17日、ヨーロッパリーグのアヤックス戦で2ゴールを挙げる活躍。UEFA主催の大会では、ニイ・ランプティ、ニクラス・ベルクロートに次ぐ史上3番目に若い16歳218日でゴールを記録。
2010-2011シーズン開幕前 遂にWSD初登場!(当時17歳)
前09-10シーズンにリーグ優勝したため、CL(チャンピオンズリーグ)予選の出場権を獲得(結果は予選敗退)。そのため通常は掲載がないベルギーリーグのクラブでありながら、アンデルレヒトの一員としてWSDに初登場! でも出場試合数が間違えて掲載されています(泣)。25試合出場ではなく、正しくは33試合出場です。
このシーズンは37試合に出場し16ゴールを挙げ、2年連続のリーグ優勝に貢献しました。残念ながら得点王のタイトルは逃しました。
ちなみにこのシーズンのベルギーリーグ得点王は当時クリュプ・ブリュッヘに所属していたイヴァン・ペリシッチ(当時21歳)でした。
2011-2012シーズン プレミアリーグに見参! しかし・・・。(当時18歳)
2011年8月18日、チェルシーFCへの移籍が5年契約で決定します。背番号は18番。実はルカクはチェルシーの大ファン。当時のチェルシーの監督は2011年6月に就任したアンドレ・ビラス・ボアス。ルカクのプレミアリーグ1年目は・・・。
2011-2012シーズン終了後 チームは2冠達成! 一方ルカクは・・・。(当時19歳)
11-12シーズンのチェルシーはリーグを6位で終えますが、CL(チャンピオンズリーグ)とFAカップの優勝し2冠を達成! しかしルカクはいずれのタイトルにも貢献できず、シーズンを通して公式戦13試合に出場し0得点に終わり悔しい思いをします。優勝したチームにいながら優勝に貢献できなかったため、優勝トロフィーには指一本触れなかったといいます。
2011年8月27日のノリッジ・シティFC戦にフェルナンド・トーレスとの交代で途中出場し、プレミアリーグデビュー。その後はカップ戦で起用されることが多かったものの、リーグ戦にはほとんど出場できない状態が続きます。
そんな中、2012年3月4日に成績不振を理由にアンドレ・ビラス・ボアス監督が解任。同年5月13日にプレミアリーグのブラックバーン・ローバーズ戦で初先発。この試合でジョン・テリーのゴールをアシストし、試合のMVPに輝きます。しかしその後はこれといった活躍はなく、シーズン終了まで出場機会には恵まれませんでした。
数年後、ルカクは当時のチェルシー指揮官であるアンドレ・ビラス・ボアスとの不仲を暴露し、「絶対に許すことはない」とビラス・ボアスに対する怒りを語っています。本人曰く、「自分に対する話し方や振る舞いが受け入れられなかった。起用法について全く説明されなかった」などと話しています。
2012-2013シーズン開幕前 WBAへ移籍! 武者修行 (当時19歳)
ベルギーリーグ得点王の才能を発揮できず、不完全燃焼に終わったプレミアリーグ1年目。心機一転! 出場機会を求めて2012年8月10日、ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオンFC(以下、WBA)にレンタル移籍します。
2012-2013シーズン終了後 実力を証明! 大ブレイク!!(当時20歳)
出場機会を求めてチェルシーからWBAに移籍したルカク。早速2012年8月18日のリヴァプールFCとの開幕戦でリーグ戦初ゴールを記録。
このシーズンは飛躍を遂げプレミアリーグ35試合に出場し、17ゴールを挙げました。最終節のマンチェスター・ユナイテッド戦ではハットトリックを決め、チームを5-5のドローに導きます。このシーズン、プレミアリーグで17ゴールという記録でゴールランキングの6番目となりました。またチェルシーから放出されたにも関わらず、2012-13シーズンのチェルシーのどの選手よりも多くゴールを決めました。
2013-2014シーズン開幕前 エバートンFCへ移籍! (エバートン1年目/当時20歳)
2013年9月2日、今度はエバートンFCにレンタル移籍。更なるステップアップを目指します。
ちなみにここでは当ブログ第1回で取り上げたシェイマス・コールマンとチームメイトになります。
2013-2014シーズン終了後 大活躍! EL出場権獲得!! (当時21歳)
エバートン1年目は31試合に出場し15ゴール、6アシストを記録。チームもリーグ戦を5位で終え、EL(ヨーロッパリーグ)の出場権を獲得。ルカクはチームの攻撃の中心として貢献しました。
2014-2015シーズン開幕前 エバートンFCへ完全移籍!(エバートン2年目/当時21歳)
2014年7月30日、チェルシーからエバートンに5年契約で完全移籍します。背番号は10番で、移籍金はクラブ史上最高額の2800万ポンド(約36億円)。腰を据えてエバートンで更なる飛躍を目指します。
2014-2015シーズン終了後 ケガで出遅れるも役割果たす! (当時22歳)
2014年9月13日、かつて所属していたWBA戦でゴールを決めます。しかしルカクはゴールセレブレーションすることなく、それを見たWBAサポーターから敬意を表して拍手喝采を受けます。人格者ルカクならではエピソードですね。
またこのシーズンで初めてのマージーサイド・ダービー(対リバプールFC)において2得点を決め、後に「これまでのサッカー人生の中で一番いい経験だった」と語っています。
EL(ヨーロッパリーグ)に出場したエバートンにおいて、9試合に出場し8ゴールを記録。チームのベスト16入りに貢献しました。
2015-2016シーズン開幕前 (エバートン3年目/当時22歳)
2015-2016シーズン終了後 (当時23歳)
公式戦46試合に出場し25ゴールを記録。年間ゴール数を更新しました。
2016-2017シーズン開幕前 (エバートン4年目/当時23歳)
引く手あまたのルカクでしたが、チームに残りエバートンでの4年目のジースンに臨みます。
2016-2017シーズン終了後 (当時24歳)
2016-17シーズン、2016年9月12日のサンダーランド戦でハットトリックを達成。2017年3月のプレミアリーグ最優秀選手に選出。2017年4月21日までにリーグ戦24ゴールを記録した活躍が認められて、プレミアリーグの年間ベスト11にも選出。2016-17シーズンは25ゴールを決め、得点王争いで2位となった。またファン選出の2016-17シーズンプレミアリーグベストイレブンにも選出されました。
2017-2018シーズン開幕前 マンチェスター・Uへ移籍! (当時24歳)
2017年7月10日、マンチェスター・ユナイテッドFCと5年契約(1年の契約延長オプション付き)を結んだことが発表されます。満を持してビッククラブへ移籍を果たします。
2017-2018シーズン終了後 (当時25歳)
2017年8月13日、ウェストハム・ユナイテッドFCとの開幕戦で2得点を決めて勝利に貢献。 2018年3月31日、ユナイテッドはプレミアリーグ第32節でスウォンジーをホームに迎え、先発出場したルカクは前半5分、FWアレクシス・サンチェスの横パスを左足でゴール左上に突き刺し、24歳322日でプレミア通算100ゴールを達成。この記録を達成したのは、ルカクで28人目となり、ベルギー人では初めてのこと。さらにプレミア史上5番目の若さです。
ちなみに1位から5位は以下の通り。
1位:23歳134日 マイケル・オーウェン
2位:23歳283日 ロビー・ファウラー
3位:24歳100日 ウェイン・ルーニー
4位:24歳191日 ハリー・ケイン
5位:24歳322日 ロメル・ルカク
在籍2年間で公式戦96試合42得点13アシストという数字は素晴らしいですが、格上相手だと活躍できない勝負弱さを露呈。強豪相手に低調なパフォーマンスで度々批判を受けました。ゴールを決めても批判される・・・。辛い仕事です。
2018-2019シーズン開幕前 (マンチェスター・U 2年目/当時25歳)
ビッグクラブ相手には得点出来ないと揶揄されてしまったルカク。マンチェスター・U2年目はその汚名を返上したいところだが果たして。
2018-19シーズン終了後
マンチェスター・U在籍2年間で公式戦96試合42得点13アシストというスタッツだけ見れば立派だが格上相手だと活躍できない勝負弱さを露呈。低調なパフォーマンスで度々批判を受けました。
このシーズンを最後に8シーズン過ごしたイングランドを後にし、新天地イタリアへと旅立ちます。
2019-2020シーズン開幕前 インテルへ移籍! (当時26歳)
2019年8月8日、インテル・ミラノへの完全移籍を発表。契約期間は2024年までの5年間契約。報道によれば移籍金は最大8000万ユーロとされており、インテル史上最高額の移籍金。背番号は9番。インテルの背番号9はルカクの子供の頃のアイドル、元ブラジル代表FWロナウドが付けていた番号。インテルへの移籍はその憧れのロナウドの影響があったそうです。
2019-2020シーズン終了後 (当時27歳)
開幕戦となったレッチェ戦で早くもゴールを決めると、第2節のカリアリ戦では決勝ゴールを決め、第4節のミラノダービーでもゴールを挙げ、第11節のボローニャ戦で決勝点を含む2ゴールを挙げます。2020年8月11日、UEFAヨーロッパリーグ・準々決勝では欧州リーグ史上初となる9試合連続ゴールをきめて勝利に貢献。決勝のセビージャ戦でPKによるゴールを決めて、連続得点記録を11試合とすると共に、インテルの歴史上これまでロナウドが保持していた年間最多ゴール数である34ゴールに並びました。しかし決勝は相手GKとの1対1を外したこともあり、チームは2-3と破れた。
ラウターロ・マルティネスとの絶妙なコンビネーションを見せ、セリエA1年目とは思えない大活躍でリーグ戦を2位で終えました。
2020-2021シーズン開幕前 (インテル2年目/当時27歳)
イタリア2シーズン目。攻撃の中心としての役割を果たしているルカク。2021/05/01に行われた最下位クロトーネ戦にも0-2で勝利し、3位アタランタの結果次第で11シーズンぶりのリーグ優勝が決定します(残り試合の関係で2位ACミランの優勝の可能性は消滅)。
リーグ優勝がほぼ確定して次の注目はリーグMVPの行方! 果たしてMVP獲得なるでしょうか? 得点ランキングではトップのC・ロナウド(ユベントス)と4差の21得点で2位につけています。注目して見ていきましょう!
あ と が き
前回の第4回から3か月以上も空いてしまいました・・・。これは素直に反省。仕事が忙しかったことが最大の要因なのですが、ブログの書き方もこの機会に見直さなければとも思いました。文章が多すぎるかなと。文章が多いと単純に時間がかかって、結果更新頻度が下がります。もっと写真メインにして、更新頻度を上げていこうと思います。
さて、今回の主役ルカクに話を戻します。得点力は言うまでもありませんが、なんといっても魅力は強靭なフィジカルですよね。対戦相手がまるで”冷蔵庫”と例えるほどの肉体は実際どれほどなのか。「間近で見たい!」「実際にタックルしてみたい!!」という気持ちになります。笑
次回の第6回は5/9(日)には更新したいと思っています。写真メインにして、少し文章は減らして。笑
ではまた次回!